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人手不足解消へ オンラインのバスガイド始動 GPSで的確な案内、乗客からも好評 HIS沖縄


人手不足解消へ オンラインのバスガイド始動 GPSで的確な案内、乗客からも好評 HIS沖縄 バスの位置情報などを基に事業所内でガイド案内をするエイチ・アイ・エス沖縄の関直樹執行役員=那覇市内
この記事を書いた人 Avatar photo 與那覇 智早

 旅行業のエイチ・アイ・エス沖縄(那覇市)は、バスガイドが同乗せずにオンラインで名勝などを案内するバスツアーを始めている。事業所内にいるガイドは衛星利用測位システム(GPS)でバスの位置を把握することで的確な案内が可能だ。人手が足らず、ガイドなしで運行していたツアーに導入しており、人材不足の解決策となっている。

 コロナ禍で旅行に行けない人に向けに、同社のガイドが観光地を訪れる配信サービスが好評だった。その逆の発想で導入に踏み切った。システムは2023年度の県の補助事業を活用し、IT関連のokicom(オキコム、宜野湾市)と開発した。事業費は約1500万円で、3分の2を県が補助した。

 バス内には二つのモニターと八つのスピーカーを設置した。ガイドはバスの位置をGPSで把握し、周囲270度をカバーする車載カメラで外の景色や乗客の反応を見られる。資料などをモニターに映し出すことも可能だ。ガイドなしで催行していたバスツアーに5月から導入し、乗客からも好評だという。

 バスガイドは団体旅行の少ない夏場は仕事が減り、ツアーが集中する秋頃には足りなくなるなど、季節によって仕事量に変動があり、給与にも直結する勤務体系が不安定だった。オンラインならネット環境とカメラやマイクなど機材をそろえれば、どこからでも案内ができる。育児や介護の合間でも業務が可能だ。

 バスガイドは現地で乗客が観光している間の待ち時間が長く、一行の誘導の習熟に時間を要した。オンラインであれば拘束時間が短く、稼働時間の効率化が図れる。

 エイチ・アイ・エス沖縄は、埋もれた観光人材の活用につながると期待している。今後はガイド業務のない時間には事務職をこなすなど、正社員として安定した勤務体系の中でマルチタスクのできる人材の育成を想定している。社内で適性を見ながらガイドを育成する予定だ。

 将来的には、乗客とのリアルタイムの掛け合い、客席に置いたタブレットのチャット機能を使ったやりとりも見据える。ガイドの一人としてオンライン案内も担当している関直樹執行役員は「無機質な音声ガイドではなく、人との関わりを大事にしたい。お客さまの満足度向上に努めたい」と話した。

 (與那覇智早)