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りゅうせき 水素ステーション導入 県内初、来年3月稼働 移動可能、燃料電池車普及へ


りゅうせき 水素ステーション導入 県内初、来年3月稼働 移動可能、燃料電池車普及へ りゅうせきが導入した移動式水素ステーション。2025年3月に稼働予定(同社提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 良太

 りゅうせき(浦添市、根路銘剛宏社長)は沖縄で初めてとなる自動車用の水素ステーション事業を始める。25年3月の運用開始を目指し、水素圧縮機などを搭載した「ハイドロシャトル車」(移動式水素ステーション)を導入した。同市西洲の本社付近にあるガソリンスタンドの敷地を拠点として整備中で、水素の製造も自社で手掛け、新たなエネルギーの地産地消モデルの構築を目指す。根路銘社長が7日、就任インタビューで明らかにした。

 内閣府の「沖縄型クリーンエネルギー導入促進事業」を活用。うるま市にある石油タンク敷地を使って太陽光発電を動力に水を電気分解して水素を製造する。製造した水素をハイドロシャトルに充填(じゅうてん)して浦添市の拠点に運び、トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「ミライ」などに供給できる環境を整備する。

 水素ステーションは移動可能なため、燃料電池トラックや港湾での工業用車両などへの利用拡大も視野に入れる。また長期的には製造した水素を小型のモジュールに充填し、県内各地にあるガソリンスタンドで利用できる仕組みも導入可能か検討を進める。

 導入に当たっては県内企業などにも利用する賛同者を募り、FCVの走行可能距離などの情報を集めたい考え。コスト面が課題のため、国の補助を受けた実証事業を通じて解決策を整理する。

 根路銘社長は、県内では当面、ガソリン車が主力を占める状況は変わらないとし、「今を支えるエネルギーにしっかり取り組む。同時に脱炭素にも両軸で取り組みたい」と述べた。県内にはまだFCVに水素を充填できる水素ステーションがないため、FCVの本格導入が進まない構造的課題を指摘。「鶏が先か卵が先かの議論だが、水素を供給できるようになることで普及が進む。一歩踏み出すことにした」と説明した。

 (島袋良太)