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相続登記申請の義務化 適正な申請で不動産の迷子なくす <けいざい風水>


相続登記申請の義務化 適正な申請で不動産の迷子なくす <けいざい風水>
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 4月1日より相続によって不動産の所有権を取得した場合の相続登記が義務化されたことをご存じでしょうか。これまで任意とされてきた不動産の相続登記が義務化されてきた背景には「所有者不明土地」の問題があります。

 「所有者不明土地」とは主にこれまでの相続などで登記がなされなかったことにより現在の「真の所有者」が不明、いわば迷子になっている土地のことです。全国的にみると「所有者不明土地」は約24%を占め、九州の面積よりも広いと言われています。

 土地の真の所有者が分からないことは、公共事業や復旧・復興事業の円滑な実施、民間での取引、土地の有効活用などの大きな阻害要因となります。土地の適切な管理がなされずに隣地やその地域に悪影響が生じたりするなどさまざまな問題が生じています。

 今後の高齢化社会の進行でこの問題はますます深刻化する可能性があり、喫緊の課題となっています。そして、今回の義務化で「所有者不明土地」の発生予防と土地利用の円滑化が期待されます。

 沖縄県では戦争の混乱による「沖縄特有の所有者不明土地」が存在するなどの特殊事情はありますが、今後新たに増やさないという観点からも重要な制度です。

 土地のみではなく、これも全国的に課題となっている、空き家問題の発生を抑制するという観点からも有効でしょう。相続登記の適正な申請で今後迷子になる不動産を減らし、限りある国土の有効活用を進めていきたいものです。具体的な手続きはぜひお近くの専門家にご相談ください。

この記事を書いた人
喜屋武 剛 沖縄銀行 内間支店長