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コストコ進出、「県産品」拡大のチャンスも  ハワイの成功から描くスタイルとは<小売烈戦ー激変の沖縄市場>2


コストコ進出、「県産品」拡大のチャンスも  ハワイの成功から描くスタイルとは<小売烈戦ー激変の沖縄市場>2 また商品が入荷していない店内を案内するコストコ沖縄南城倉庫店の小川恭一店長=6月下旬、南城市
この記事を書いた人 Avatar photo 當山 幸都

 6月下旬、南城市の「コストコ沖縄南城倉庫店」はまだ商品入荷前で、がらんとした空間が倉庫型の店内の広さを際立たせていた。生鮮品を陳列する冷蔵庫は、商品カートやフォークリフトがそのまま入れるほど大きい。肉製品などを扱う調理場はガラス張りになり、売り場から作業の様子が見える設計になっている。

 コストコを運営するコストコホールセールジャパンによると、主に想定する集客のターゲットはファミリー層だ。沖縄南城倉庫店の小川恭一店長は「沖縄は大家族が多い。きょうだいがたくさんいる従業員もおり、大容量の商品のバラエティーは向いているのではないか」と語る。

 日本復帰前に27年間の米統治下にあった沖縄は外国製品になじみがある。ポーク缶やA1ソース、キャンベルスープなどは食生活に溶け込む存在になった。沖縄南城倉庫店では、ステーキを食べる習慣やバーベキュー文化が根付き、バスケットボールが盛んな沖縄の土地柄を踏まえた商品展開も念頭にあるという。

 県内でスーパーを展開するある小売り大手の幹部は「県民性として海外製品に抵抗がなく、柔軟剤など大容量の商品は日本本土よりいち早く普及した。コストコ商品も浸透しやすいのではないか」とみる。

 一方で、世界各地で展開するコストコの沖縄進出は県内事業者にとって、自社製品の国内外への販路拡大の契機になる。コストコホールセールジャパンによると、数年前から海ぶどう、パイナップルといった沖縄産品を全国のコストコで販売している。沖縄出店を機会に地元業者との商談会も開かれるなど新たな取引を模索する。

 沖縄南城倉庫店では、県内客のみならずインバウンド(訪日客)の需要も見込む。
島やリゾート地といった沖縄と共通項がある立地環境では、既に米本国のハワイで成功体験がある。小川店長は「ハワイでは1カ月コンドミニアムを借り、必要な食料や日用品をコストコで買うスタイルが定着している。沖縄にもそのニーズはあるし、信頼度が高い日本製品を買い求める外国のお客さまは多いのではないか」と話した。
(當山幸都)
(木―土曜掲載)