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コストコの給油所に同業者ら危機感 近隣住民は交通渋滞に不安<小売烈戦ー激変の沖縄市場>5


コストコの給油所に同業者ら危機感 近隣住民は交通渋滞に不安<小売烈戦ー激変の沖縄市場>5 「コストコ沖縄南城倉庫店」周辺では開業直後の交通渋滞を懸念する声がある=8日午後、南城市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 24日に開業する「コストコ沖縄南城倉庫店」に対し、周辺住民には南城市の活性化や経済効果に期待する声が多い。半面、事業者には絶大な資本力を持つ世界的な巨大スーパーが進出する影響への懸念も渦巻く。

 開業に先立つ6月22日、コストコは店舗隣接地にガスステーション(GS)を先行オープンした。独自ルートで仕入れている自社ブランド「カークランドシグネチャー」のガソリンや軽油を取り扱い、24台もの給油機が並ぶ。コストコ会員向けで、県内相場と比べると販売価格は安い。

「コストコ沖縄南城倉庫店」に隣接するガスステーション=6月22日、南城市

 同業者らは客足を奪われることに危機感を募らせる。コストコの近くで営業する給油所の男性経営者は「店頭価格がうちの(費用や利益を上乗せする前の)仕入価格と変わらないくらい安い」と驚きを隠さない。

 県外ではコストコがGSを併設して出店した地域で、廉価なガソリン提供に地元の石油販売団体が反発する事例がある。ただ、県石油商業組合の玉城善和理事長によると、現時点ではコストコのGSに顧客が集中する「1人勝ち」の状況にはない。

 コストコのGSと同程度か安い値段で販売している給油所が一部であり、特にこの1年の県内の競争環境に「採算確保が厳しい価格破壊的な状況」があるためだという。コストコの影響について玉城理事長は「動向をみながら対応を考えたい」と語った。

 一方で、周辺住民や事業者が口をそろえるのが、コストコ開業後に予想される周辺の交通渋滞への不安だ。

 コストコは新規出店の立地条件の一つとして、車でのアクセスの良さを挙げる。南城市周辺では那覇空港自動車道と連結し、市つきしろ付近までを結ぶ県事業の高規格道路「南部東道路」(7・4キロ)が建設中だ。コストコ側が進出を決める好材料になったとみられるが、完成は「2020年代後半」と計画され、市は早期整備を要望する。

 多くの来店客が見込まれる24日の開業直後の渋滞は避けられそうにない。市の地域公共交通会議では、栃木県でコストコ開業時に慢性的な渋滞が発生し、運行する路線バスに最大4時間の遅れが生じた事例があることなどが報告され、対策が議論されている。

 沖縄南城倉庫店周辺の県道137号、86号は片側一車線の道路が続き、交通量を分散させる迂回(うかい)路は少ない。市商工会の津波古孝弥会長は、まちづくりの盛り上がりに期待しつつ「渋滞で市民や市内事業者が困ることだけは心配だ」と話した。 

(當山幸都、島袋良太、普天間伊織)