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コストコ、1日の来客数3000~6000人推計 集客力を“起爆剤”に<小売烈戦ー激変の沖縄市場>4


コストコ、1日の来客数3000~6000人推計 集客力を“起爆剤”に<小売烈戦ー激変の沖縄市場>4 「コストコ」のロゴマーク
この記事を書いた人 Avatar photo 當山 幸都

 県が2019年にまとめた「買物動向調査」に、消費者が居住市町村で買い物をする割合を算出した「地元購買率ランキング」が記載されている。それによると南城市は飲食料品(66・9%)、日用品(59・2%)、実用衣料品(37・9%)のいずれも県内11市で最も低く、本島南部地区の割合を大きく下回った。多くの住民が、最寄り品を買うため市外へ出掛けているか、ネットなどを利用していることを示す。

 他市町村からどれだけ購買者を引き寄せているかを表す「吸引力」は本島南部で那覇市が最も強く、豊見城市、南風原町、浦添市と続いた。いずれも南城市にはない、店舗面積1万平方メートルを超えるショッピングセンターが立地する。大きな誘客につながる商業集積が十分にないことが、地元購買率や吸引力の弱さの要因とみられる。

市町村別地元購買率ランキング

 買物動向調査はその後実施されておらず、新型コロナウイルス禍を経た直近の動向は把握できないが、同様の傾向をうかがわせるデータがある。

 7月下旬に那覇市内であった県主催のデータ利活用セミナーで、野嵩商会の仲里健司電算室長は同社が運営する「フレッシュプラザユニオン」の30代の顧客のうち、特に南城市在住者の利用額が高い傾向にあると紹介。同市にユニオンはないが、市外の店舗まで出掛け「まとめ買いをされている可能性がある」と指摘した。

 市関係者によると、24日に開業する「コストコ沖縄南城倉庫店」の来客者数は1日当たり推計3~6千人。開発が進む周辺は市内屈指の商業エリアとなる見込みで、新たに生まれる集客力を“起爆剤”に、観光振興を含めた恩恵を市全体に行き渡らせられるかが鍵になる。

 市の担当者は「人を呼び込むコストコのけん引力を活用して定住・交流人口の増加や雇用創出、日用品の買い回りができるまちづくりにつなげたい」と説明する。

多くの観光客が訪れる斎場御嶽=南城市知念久手堅

 商工会や観光協会と連携し、市外からコストコを訪れる買い物客をそのまま帰さず、市内を回遊してもらう仕掛けづくりも検討中だ。アイデア段階だが、コストコの会員カード提示による割り引きサービスや、スタンプラリーなどの案がある。

 南城市には世界遺産の斎場御嶽や玉泉洞、奥武島といった観光資源があり、コストコ周辺には若者を中心に人気のカフェが多い。近年はヴィラやコンドミニアムといった形態の宿泊施設も増えている。市はこれらの一体的な情報発信に力を入れ、課題と位置付ける「通過型観光から滞在型観光への転換」を目指す。

  (當山幸都)