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コストコ、ロピアの沖縄進出で本格的競争時代に イオン琉球、リウボウは地域色で対抗 <小売烈戦ー激変の沖縄市場>9


コストコ、ロピアの沖縄進出で本格的競争時代に イオン琉球、リウボウは地域色で対抗 <小売烈戦ー激変の沖縄市場>9 リウボウグループでは百貨店、スーパー、コンビニの各事業の連携が相乗効果を生む=22日、那覇市の「ファミリーマート+りうぼう泉崎店」
この記事を書いた人 Avatar photo 當山 幸都

 「今までは限られたプレーヤーによる戦いで、言葉を選ばずに言うと競争環境としては緩かった。これからが本格的な真の競争時代に入る」。

 食品スーパーのロピア、米国系会員制スーパー「コストコ」の相次ぐ沖縄初進出の影響について、イオン琉球の大森修取締役営業本部長はそう言い切った。イオングループで総合スーパー(GMS)事業の中核を担うイオンリテール(千葉県)に身を置き、首都圏や都市部で積んだ競争経験に裏打ちされた見方だ。

 イオン琉球が展開する那覇市のマックスバリュ牧志店では、徒歩5分ほどの至近距離に進出した「ロピア沖縄国際通り店」をにらみ、ロピアにはない日用品の品ぞろえを充実させたり、店名になぞらえた「マキシマムセール」を打ったりと対策を講じている。客足や売り上げは「計画以上に推移している」(大森氏)という。

 県内ではスーパーのほかコンビニエンスストアやドラッグストアも含め、小売り各社の出店ペースが衰える様子はない。イオン琉球は今秋、GMSの「イオンスタイル」を沖縄市比屋根と浦添市のてだこ浦西駅隣接地に開業予定で、同社で手薄な本島中部で出店を進める。新型コロナウイルスの5 類移行で個人消費、観光需要の回復の後押しもあり、2025年2月期の営業収益は初の1千億円超を見込む。

 新規参入を受けて県内各社が力を入れるのが、地元に根を張った独自色の徹底だ。沖縄の食文化、年中行事にも適応した商品展開や経営ノウハウは、沖縄に進出する新勢力にはない強みになる。

 県内唯一の百貨店やスーパー、コンビニ事業を手掛けるリウボウグループ。百貨店運営のリウボウインダストリーと沖縄ファミリーマートの両社長を兼務する糸数剛一・リウボウホールディングス会長は「やることは決まっていて、どう差別化するかだ」と語る。

 百貨店「デパートリウボウ」のギフト商品をスーパーの「りうぼう」用に展開したり、ファミマの商品開発力を中元歳暮に生かしたりと百貨店、スーパー、コンビニの3業態が同業他社にはない相乗効果を生んでいる。

 沖縄ファミマでは「地域ド密着プロジェクト」と銘打った自治体とのコラボも定番化しつつある。糸数氏は「強みをより強く、地域密着のものを、質を高めながら出していく」と説明した。

(當山幸都)