りゅうぎん総合研究所は10日、医師の働き方改革と沖縄県が抱える医療課題に関する調査リポートを発表した。社会保険労務士で医療労務管理アドバイザーの加藤浩司氏と共同調査した。医師の残業時間の規制を強化した働き方改革が4月に始まったことを受け、安易な救急車呼び出しを控えるなどの県民の行動改善や、医師の声を反映させる定期的な実態調査が必要だと提言した。
一般的な業種の時間外労働の上限は720時間だが、医師は休日労働を含め原則年960時間、条件を満たせば例外的に年1860時間まで認められる。
リポートではこうした働き方改革がもたらす「2024年問題」として医師の負担感増加などの懸念要素を整理した。島しょ県の沖縄の医療現場には医師、診療科の偏在があると指摘。緊急性のない患者が休日、夜間に気軽に診療を受けようとする「コンビニ受診」が沖縄は1施設当たりで全国一多く、医療サービスを受ける需要側にも課題があると強調した。
その上で、地域医療を守るため(1)安易な救急車呼び出しや総合病院の受診を控えるといった、県民の働き方改革への理解と協力(2)県や県医師会による医療従事者の働き方改革の進ちょくを確認するモニタリング調査の実施―の2点を提言した。
加藤氏は、医師がより専門的な業務に専念できる仕組みづくりに触れ「沖縄や沖縄の医療機関で働き続けることを医師に選んでもらえる環境整備が必要になる」と説明した。