27日に投開票された衆院選について、県内経済界からは与党の過半数割れで政権の「不安定化」を懸念する声や、与野党間の丁寧な政策協議に期待する声が上がった。県選出・出身衆院議員は過去最多に並ぶ9人が選出された。沖縄の事情を踏まえた経済振興策に力を入れるよう、関係議員に要望する声が相次いだ。
県経済団体会議の金城克也議長は自公の過半数割れについて「政権の不安定化につながり、政策の一貫性や迅速な意思決定が難しくなることから、経済対策などに支障を来す可能性がある」と懸念。「沖縄経済にとっても人手不足や物価高などに対する経済対策などの遅れや変更などのリスクが懸念される。当選された方々には県経済の発展に尽力してもらいたい」と述べた。政府に対し、沖縄の特殊事情を考慮した経済政策の継続を求めていく考えも示した。
県経営者協会の宮城茂会長は「(選出議員には)沖縄特有の課題にも焦点を当て、持続可能な沖縄経済の発展に尽力いただきたい。経済的格差の是正、雇用の安定や地域産業の発展への対応はもとより、GW2050構想といったこれからの重要課題にも迅速かつ的確に対応してもらいたい。新政権でも沖縄の声が適切に反映されることを強く期待する」とコメントした。
県ホテル協会の平良朝敬会長は自公過半数割れについて「法案決めのスピード感は落ちるだろうが、他党との話し合いの場ができて国民に寄り添った結論を出せるようになる。沖縄経済や観光業界に影響はないだろう」と推測する。
選挙戦で各党が賃上げ施策を掲げたことに触れ「賃金が上がれば旅行にも行きたくなるので、マイナスになるものはない」と話した。
JA沖縄中央会の嘉数康雄会長は「与党にとってさまざまな問題もあり、逆風下の厳しい選挙となった。今後の政権運営に厳しさが増すだろう」と予想した。生産現場では子牛価格の低迷、肥料や燃料など生産資材の価格上昇の一方で、価格転嫁は進んでおらず、課題は山積する。選挙後の政権には「課題解決に向け、改正された農業基本法を踏まえた実効性のある施策の実現に取り組んでいただきたい」と要望した。
(島袋良太、新垣若菜、與那覇智早)