Q 泡盛を含む日本の「伝統的酒造り」について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の評価機関が無形文化遺産に登録するよう勧告したよ。沖縄はどのような泡盛文化を築いてきたんだろう。
A 泡盛は沖縄の伝統的な蒸留酒なんだ。主に黄麹(きこうじ)や白麹(しろこうじ)が使われる焼酎や日本酒に対し、黒麹(くろこうじ)菌のみを用いるのが特徴で、黒麹菌のみの酒造りは世界的にも珍しいんだ。
主にタイ米を原料に黒麹菌で米麹にし、酵母でアルコール発酵させたもろみを単式蒸留器で蒸留して製造する。発酵の工程は「全麹仕込み」と呼ばれている。甕(かめ)などで熟成させる「古酒」も他の焼酎にはない魅力の一つだよ。
15世紀ごろシャム(現在のタイ)から蒸留技術が琉球に伝わったのが起源とされる。名称の由来は、以前は原料に粟(あわ)が使われていたためとの説や、蒸留時に生じる「泡」でアルコール度数を計ったという説など複数あるよ。
沖縄戦で酒造所が被害を受け、泡盛に欠かせない黒麹菌はほぼ失われたけど、戦後かろうじて残った黒麹菌を収集し、製造が再びスタートし、復興を遂げたよ。
近年はタイ米ではなく県産米を使った泡盛も登場し、飲み方の提案も多様化している。泡盛は600年の長い歴史の伝統を受け継ぎながら、新たな価値を生み出しているんだ。
一方で2004年をピークに減少傾向にあり、課題も抱えている。12月には遺産登録が正式決定する見通しで、登録を起爆剤に振興発展への期待が高まっているよ。