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「挑戦は前進」教え胸に 平和学習講師・安里拓也さん


「挑戦は前進」教え胸に 平和学習講師・安里拓也さん 「自分の興味や関心に素直になれたのは先生のおかげ」と語る平和学習講師の安里拓也さん=13日、那覇市の株式会社さびら
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉数 陽

「挑戦は前進につながる」。小禄高校に在学中、安里拓也さん(24)が仲村匡祥(ただよし)教諭(45)から教わったことだ。現在、安里さんは県内外の生徒らを対象に平和学習などを手掛ける「さびら」で講師として活動する。

 高校卒業後は海外を見て回り、ベトナム戦争証跡博物館で見た展示をきっかけに沖縄戦について考えるようになった。「失敗を恐れず行動してみることが大事だ」。安里さんの今があるのは、背中を押してくれた仲村教諭の存在が大きい。

 仲村教諭は所属するカヌー部の顧問だった。入学時の頃、安里さんは将来なりたい職業を具体的に想像できず、何となく過ごしていた。2年のとき、仲村教諭が「琉球フロッグス」の発表会を紹介した。同世代の参加者が抱く興味関心と沖縄の社会課題を関連付けて解決を目指す取り組みで、壇上で発表している同世代の姿はまぶしく、衝撃を受けた。

 触発された安里さんも沸々と好奇心が芽生え、沖縄国際大学の在学中、国内外を見聞した。ベトナムの博物館では、沖縄の米軍基地から爆撃機がベトナムに飛び立った事実を知り、沖縄戦と基地問題を考えるようになった。卒業後はIT企業を経て、今年4月から「さびら」で平和学習の講師になった。

 「先生に出会って、自分が面白く変わった。行動することで多様な視点が生まれると知った。これからもいろんな場所に行って、いろんなものを見て聞いて、学び続けたい」。安里さんは前進を続ける。

(嘉数陽)


 11月25日は「先生ありがとうの日」。園児がいる家庭向けの無料情報誌を発行する「こどもりびんぐ」が発案し、日本記念日協会が認定した。感謝の気持ちが先生に多く届いてほしいとの願いが込められている。過重な業務負担などを背景に教員不足は深刻だが、その存在に救われた子どもや保護者は多い。「あの時先生がいてくれたから今の自分がある」と感謝する人たちを取材した。