prime

ほっとしています 山城勝秀、山城塾(無料塾)代表 <未来へいっぽにほ>


ほっとしています 山城勝秀、山城塾(無料塾)代表 <未来へいっぽにほ> 山城 勝秀
この記事を書いた人 Avatar photo 外部執筆者

 毎度お騒がせの4人組がやってきた。彼らは塾に入る時から騒々しい。スリッパに履き替える時のことだが、1人目は靴下のまま入ろうとするので「お~い、スリッパに履き替えなさい」と声をかけた。でも「僕にはスリッパはいりません。靴下がスリッパ代わりです」と言う。次の子は足が強烈に臭うので、思わず「君、足は洗っているか?」と聞いてしまったが、「ちゃんと洗っていますよ。臭いは気のせいでしょう」と堂々と入ってくる。もう一人はスリッパに似た外履きで入ってくる。4人目は「スリッパが小さい」と言いながら入ってくるのだ。

 次に勉強をさせようとするが、4人はすぐガラス窓で囲まれた小部屋にこもり、おしゃべりを始めるのである。11月でも受験モードにならない。しかし講師の先生方も負けてはいない。ホワイトボードを部屋の窓近くに移動させ授業を始めるのである。彼らの言い分は「僕たちはやる気が出たらちゃんとやります。まだやる気が出てないだけです」である。それでも講師の先生方は、入試に出そうな問題を工夫して作成し、粘り強く授業を進めた。その効果もあり、1月になるとしっかり話も聞くようになり、参考書を持ち込んで勉強をするようになった。その後、この生徒たちはどうなったかって?全員第一志望の高校に合格した。後日、合格祝いの席で講師が一言、「おめでとう。私はこれから君たちに勉強しなさいと言わなくて済むのでほっとしています」と言った。

 講師の先生方も大変だったと思う。彼らを怒ることもせず、勉強嫌いにすることもなく、高校入試まで我慢強く指導したのである。その熱意には頭が下がる思いである。