文部科学省が中学校歴史教科書の検定で追加合格を発表した「令和書籍」の教科書が、沖縄戦の学徒隊動員について「志願というかたちで学徒隊に編入され」と記載し、学徒が積極的に戦争に参加したと捉えられるように表現していることが23日までに分かった。
沖縄戦での特攻隊員の死についても「沖縄を守るため」としており、本土防衛のための作戦を「沖縄のため」とすり替えるような表現になっている。
県史によると、1944年12月に陸軍防衛召集規則が改正・即日施行され、志願によって兵役に編入された14歳以上17歳未満を防衛召集できるようになったが、学徒の場合、その手続きがなされていなかった。
「集団自決」(強制集団死)に関しては「逃げ場を失って自決した民間人もいました」とまとめ、軍の強制により「集団自決」に追い込まれた住民がいたことに触れられていない。
特攻隊に関する記述では「爆弾を持ったまま敵艦に突入する特攻作戦も行われ、二八〇〇人以上の特攻隊員が散華しました」と、「散華」という言葉を用いて美化するような表現もあった。
社会科教育を専門とする琉球大学の山口剛史教授は「教科書の編集が特定の歴史観に基づいているので、戦争を美化する記述が出るのはある意味で当然」と指摘。その上で「令和書籍がおかしいというよりは、追加合格させてしまう文科省の基準、検定のあり方が問われている」とした。
令和書籍はこれまで4回、教科書を検定に出していたが、不合格だった。
(外間愛也)