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特別活動の魅力は「人づくり」 石川博久(琉球大学教育学部付属小学校校長) <未来へいっぽにほ>


特別活動の魅力は「人づくり」 石川博久(琉球大学教育学部付属小学校校長) <未来へいっぽにほ> 石川博久
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 「特別活動」とは学級活動、児童会活動、クラブ活動、学校行事のことで、活動内容を工夫し継続的・系統的に取り組めば子どもたちが大きく成長できるものである。私が特別活動の研究に長年携わっているのは、その魅力に引き込まれたからだ。それは特別活動が、みんなの幸せのために自分たちで生活や学級・学校をつくる実践を通した「人づくり」そのものだからだ。特別活動で学び身に付けた力は必ず全ての教育活動に生かされ、将来、たくましく生きる力となることは間違いない。

 ただ特別活動には教科書がない。実践は教師と子どもが学級・学校の実態を踏まえ、良さの伸長や課題改善のために話し合い、そこでしかできない取り組みを積み重ねていくのである。時間をかけて自分事として取り組むからこそ達成感は大きく、次への意欲と実践につながっていくのだ。

 教師はそれが大切だと理解しつつも、話し合いや実践の準備に時間がかかるため、年間を通した実践が十分にはできていないのが現状である。しかし現状を乗り越え、その魅力を感じることができた教師は、私と同様、子どもの見方、関わり方、教育観が変わり、自身の生き方も変わるだろう。

 現在、この非認知スキルを育成する日本特有の教育活動「特別活動」が、日本式教育「TOKKATSU(とっかつ)」として世界からも注目され、エジプトやインドネシアなどの国々が学校教育に取り入れ始めている。

 それはなぜなのか。いま一度、われわれは特別活動の意義を見つめ直す必要がある。今の時代だからこそ組織的に取り組み、一人でも多くの教師と子どもたちに特別活動の魅力を感じてもらいたい。

石川博久 いしかわ・ひろひさ

 琉球大学付属小学校校長。県小学校特別活動研究会会長、日本特別活動学会九州・沖縄理事。沖縄戦の実相や継承のあり方を学ぶ学習会にも参加している。1966年生まれ、那覇市出身。