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「無料塾」ってどんな制度? 進学諦めないよう経済的支援<ニュースはじめの一歩>


「無料塾」ってどんな制度? 進学諦めないよう経済的支援<ニュースはじめの一歩> 県の大学等進学促進事業「無料塾」の沖縄本島教室の開講式=4月22日、那覇市の那覇尚学院
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

Q 県の大学等進学促進事業「無料塾」は、どんな目的で実施されていますか?

 A 大学や専門学校に進みたいけれど、塾に通うお金がないから諦める―。そんな高校生を支援するための無料塾は、子育て総合支援事業として2014年度に始まりました。一括交付金を活用した制度です。県内に9カ所あります。利用する生徒は事業を受託する県内各地の塾に通って学びます。授業料や教材費、模擬試験の受験料は県が負担します。

 対象は、(1)児童扶養手当受給世帯(2)住民税所得割非課税世帯(3)里親家庭か児童養護施設に入所している高校生。貧困の連鎖が次世代に続くのをくい止めることを目指しています。背景に沖縄の置かれた状況があります。23年3月の高校卒業者の大学進学率は46.3%で、全国の60.8%と大きな差があります。20年度に就学援助を受けた児童・生徒は沖縄24.13%、全国14.42%でした。

 無料塾ができてからの10年間に、受講した高校生は約1800人に上ります。3年生はこれまで1118人が受験し、合格率の平均は83.8%。琉球大をはじめ県内外の国公立大、私大に進学しています。

 「進学を諦めていた子どもに夢や希望を届けられた」と県こども家庭課。一方で定員に満たないことが多く、周知が十分とは言いがたい状況です。

 なお、就学援助受給世帯の小中学生を対象にした無料塾もあります。本島の17町村については県子ども家庭課が窓口で、募集中です。電話098(866)2174。また、那覇市や名護市なども生活困窮世帯の小中学生の学習支援にそれぞれ取り組んでいます。