「最愛の娘が待つ家に帰る夫が…」 交通事故の遺族が那覇西高で講話「命、人生を守って」 沖縄 


「最愛の娘が待つ家に帰る夫が…」 交通事故の遺族が那覇西高で講話「命、人生を守って」 沖縄  交通事故の悲惨さや交通安全の大切さを訴える女性(左)と高校生ら=那覇市の那覇西高校
この記事を書いた人 Avatar photo 外間 愛也

 生徒に交通安全の意識を高め、命の大切さについて考えてもらおうと、那覇西高校は23日、交通事故遺族を招いた交通安全講話を実施した。2020年に夫を亡くした東京都の女性(41)が「被害者にも加害者にもならないために」の演題で講演した。

 20年8月の夜、女性の夫は仕事からの帰り道、バイクで国道の交差点を直進した。対向車線から右折してきた軽自動車を避けられず、衝突してはね飛ばされた。信号はどちらも青だったが、直進側が優先だった。

 軽自動車を運転していたのは免許を取り立ての18歳の少年で、友人ら4人で遊園地に遊びに行き、帰宅途中だった。初心者マークは付けていなかった。少年審判では実刑や執行猶予は付かないため、少年は数年の保護観察処分だったという。

 講演では交通事故を起こすのは免許を取り立ての16~19歳が最も多く、死亡事故も全年代中2番目に多いという統計を紹介。沖縄は自動車の任意保険加入率がワーストだと説明し、任意保険加入の大切さも訴えた。

 女性は「自営業だった夫はコロナ禍で朝から晩まで忙しく働き、最愛の娘が待つ家に帰るところだった。少しでも悲惨な交通事故が減ってほしいという思いでこの場に立っている。大切な人の命、人生を守ってほしい」と呼びかけた。

 生徒会長の生徒(3年)は「家族を突然失うつらさ、運転の危なさや難しさを知った。被害者にも加害者にもならないため、交通ルールを守っていきたい」と感想を伝えた。