いじめや体罰、虐待など、悩みを抱える子どもからの相談を手紙で受け付ける「こどもの人権SOSミニレター」。より多くの声をすくい上げようと、那覇地方法務局と県人権擁護委員連合会は、直接学校に出向いて書き方や相談内容の例を教える取り組みを本年度から始めた。2日、豊見城市の人権擁護委員の竹本祐子さんが同市立座安小学校を訪ね、全児童に「友達や先生、家族に相談しづらいと思った時にはミニレターを使って」と呼びかけた。
SOSミニレターは便箋と封筒が一体で切手不要。相談内容を書いて投函(とうかん)すると那覇地方法務局に届く。法務局の職員や人権擁護委員が児童生徒が希望する方法で返事をする仕組み。返送先は希望する場所を選べ、電話で返答を受け取ることもできる。秘密は厳守し、相談内容によっては関係機関と連携を図りながら解決に当たる。
那覇地方法務局によると、相談内容は学校でのいじめが多く、次いで虐待や体罰などが寄せられている。他にも新学期に仲間の輪に入れないといった悩みや、性自認に関するものなど多岐にわたる。
LINE(ライン)など相談ツールが増えたこともあり、ミニレターの相談件数は減少傾向にある。一方、小中学生の中にはスマートフォンを持っていない人もいることから、人権擁護委員が子どもに直接周知した。
座安小学校では昼のホームルームの時間に、竹本さんが校内の別室からオンラインで各教室をつないで呼びかけた。手紙を活用する場面の紹介のほか、書き方は(1)いつ(2)誰に(3)何をされたのか(4)あなたはこれからどうしたいのか―を明記すると伝わりやすいとした。竹本さんは「ミニレターは学校や地域、家庭で困ったな、嫌だなと思った時のお助けマン。手紙が届いたら人権擁護委員が困りごとの解決方法を考えて力になる」と話した。
内間晃教頭は「担任では伝えきれない、意義や使い方まで丁寧に説明してくれてありがたい。子どもの相談手段の幅が広がる」と話した。
山内恵法務局長は「声を上げたくても上げられない子どもたちの手元に届けば。安心して相談してほしい」と話した。9日には与那原東小学校でも実施した。
(高橋夏帆)