豊見城市で2015年10月、市立小4年の男子児童=当時(9)=がいじめで自死し、学校側が適切な対応をしなかったとして、男児の両親が市に計約7500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審は25日、福岡高裁那覇支部で和解が成立した。
市が和解金130万円を支払い、いじめアンケートを受けて学校が個別対応をしなかったことを謝罪する。両親の代理人弁護士や市側が同日、明らかにした。両親は代理人を通じて「息子を失った悲しみは今でも変わることはない」とコメントした。
高裁の和解勧告は、自死について「いじめを含む複合的な要因が関係した」と認めた。一方で、主要因に男児の傷つきやすい特質など、さまざまなものがうかがわれると指摘。学校側に「注意義務違反ないし自死との相当因果関係があるとし、直ちに法的責任を負うとは認めがたい」とした。
男児がアンケートで書いたことなどを踏まえ「個別相談などの対応がないまま、複合的な要因が関係し自死に至ったことは否定しがたい」と記した。自死の大きな要因の一つにいじめがあったとした18年3月の第三者委員会の調査報告書の内容を市側が受け止め、再発防止に取り組むことも和解で確認した。
両親はコメントで、自死に関し市側の責任を否定した23年3月の一審那覇地裁判決が改められたとしつつ、「現行法において、これ以上の進捗(しんちょく)を得ることは困難と考え和解に至った」と述べた。いじめで悩む子どもたちに「勇気を振り絞って『つらいんだよ』と声を上げてください」と呼びかけた。
市側は「今後ともいじめ対策に努力を続けていく」とする、徳元次人市長と瀬長盛光教育長のコメントを発表した。