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受験体験談 前田春樹(東京大学教養学部2年) <未来へいっぽにほ>


受験体験談 前田春樹(東京大学教養学部2年) <未来へいっぽにほ>
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 東京大学の受験当日は苦戦の連続だった。数学と理科の大問で解き切れたものは一つもなかったのだ。数学は最低2問解き切りたいと思っていたが、全くかなわなかった。最終日午前の理科が終わり、お昼を食べていた私は絶望していた。浪人する気がなかった私にとって、東大に入るチャンスはこれが最後だった。だからこそ、一矢でも報いてやろうと思った。

 まず私は受験会場を改めて見渡した。会場では最後のあがきを見せる者、リラックスするために談笑する者とおのおの次に備えた準備をしていた。私はイヤホンを取り出し、聞き慣れた洋楽を聞いた。残る科目は英語だけ。聞き慣れた曲の歌詞を追い、英語が聞けると言い聞かせた。己を鼓舞し、この場をできるだけ楽しむことが私にできる最大限の準備だった。

 その時間が私に程よいリラックスを与えた。英語の点が伸び合格ラインに到達できたのだ。休憩時間のあの行動がなければ私は落ちていただろう。

 受験者の得点をヒストグラムにすると、平均点を頂点とする山の形になる。東大の倍率は2.5~3倍なので、分布にもよるが山の右側2割ほどが合格者の範囲になる。合格者の中だとギリギリで合格する人の割合が最も多くなるし、ギリギリで落ちた人の割合も相当多いことが分かる。だから、東大受験はギリギリのラインを超える運ゲーとも言える。

 多くの人にとって合格の確率は50%よりちょっと下だ。私もきっとその1人だった。だから大切なことは平凡な言葉だけど、最後まで諦めないことだ。どんなに状況が悪くても、一矢報いる意志が東大への道を開いてくれる。

学生団体ALOHA がくせいだんたいアロハ

 県出身の東大生らが23年に立ち上げた。沖縄から東京大学や県外難関大学に進む魅力を発信し、進学希望の中高生を支援している。東大見学ツアーや勉強合宿、保護者向け講演会などに取り組む。