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沖縄と長崎が舞台の映画「彼方の閃光」 半野喜弘監督にインタビュー 眞栄田郷敦主演、尚玄やAwichも出演


沖縄と長崎が舞台の映画「彼方の閃光」 半野喜弘監督にインタビュー 眞栄田郷敦主演、尚玄やAwichも出演 「彼方の閃光」で主人公の光を演じる眞栄田郷敦(左)と池内博之((C)彼方の閃光 製作パートナーズ)
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 長崎や沖縄などを舞台にした映画「彼方の閃光」(監督、脚本・半野喜弘)が県内で公開中だ。視覚障がいで色彩を感じられない主人公の光が、東松照明の写真に引き寄せられて長崎と沖縄を旅し、20歳の光の目を通して戦争や平和を考える物語。若手実力派俳優の眞栄田郷敦が初主演を務める。池内博之、県出身の尚玄、ラッパーAwich(エーウィッチ)も出演する。半野喜弘監督に話を聞いた。

(聞き手・田吹遥子)


―暗闇、モノクロと映像が印象的で圧倒された。

 「映画自体、暗闇に光を投影して初めて見ることができる。映像が見られない状態から始まるというコンセプトから作品ができた。その後、2時間半のモノクロの世界を経て色彩を見ると、日常を再体験できるはず」

映画「彼方の閃光」について話す半野喜弘監督=18日、那覇市の琉球新報社(喜瀬守昭撮影)
映画「彼方の閃光」について話す半野喜弘監督=18日、那覇市の琉球新報社(喜瀬守昭撮影)

―なぜ長崎と沖縄を旅の舞台としたのか。

 「青年が東京から出るという設定を考えていた際、私自身が東松照明の写真集『〈11時02分〉NAGASAKI』と、沖縄を撮った『太陽の鉛筆』に出合った。熱量や客観性が私が求めた世界観に近かった」

―長崎の後、沖縄に向かった理由は。

 「太平洋戦争が終結しても戦争は終わっていない。沖縄には基地など戦争で使う飛行機や車などと生活がすごく近い位置にある」

―戦争が主なテーマ。

 「パリを拠点にしていた頃にテロが起きて、平和は一瞬にして変わるという思いがあった。戦争や平和について対話することが当たり前にあればと思った」

―戦争当時の映像ではなく、今の視点で描いた。

 「沖縄で起きていることを日本全体で自分事として考えるには、現代から戦争を見る視点が大事だと思った。家族と話す、恋愛をする、買い物をするなどの日常と同じテーブルに、戦争や平和の話題を載せることが平和への一歩だと思う」

―尚玄演じる地元の案内人「糸洲」の役も印象的。

 「糸洲は絶対に沖縄で生まれ育った俳優に演じてもらうと決めていた。脚本の段階で尚玄に提案した。辺野古で語る場面は脚本にない部分も交えて、ワンカット一発撮りで撮影した」

―Awichも出演。

 「俳優として本格的に映画に出たのは初めてと思うが、素晴らしかった。役にぴったりはまった」

―2070年の世界まで描いた狙いは。

 「閃光は生きるための力、希望、夢、喜び。生きている限り常に希望があって、生きていることが素晴らしいと表現したかった」

 シネマQで27日正午の回の上映後に舞台あいさつがある。主役の眞栄田郷敦と半野監督が登壇する。上映期間などはスターシアターズのホームページで確認できる。