海のうしは色や形さまざま、カラフルさが魅力
いろいろあった2020年が終わり、2021年がやってきました。うし年です。
海のうしといえば、ウミウシ。2本のツノのような触角がウシみたい、という意味ですが、英語では Sea slug(海のナメクジ)と呼びます。ウミウシもナメクジも、貝殻が退化した巻貝の仲間なので、その意味では英語の呼び名は正しいですね。
分類の上では、実はいろいろなグループがごちゃ混ぜに「ウミウシの仲間」と呼ばれていて、体の形も様々、なかなか説明が難しい。貝殻を持たない種類が多いですが、アメフラシのように体の中に貝殻を残しているものもいます。
ウミウシには、1センチ足らずの大きさのものもいれば数10センチになるものもいます。そして何といっても、そのカラフルさが魅力です。身を守る貝殻もないのに派手な姿で海底を歩き回れるということは、体に何らかの毒を持つ証拠。魚などがウミウシをつついているのは、見たことがありません。ウミウシは、食べるものに含まれる毒を体にためていると言われています。
ウミウシには、まだまだ知られていない種類があります。ある海辺で見つけた小さな緑色のウミウシも、珍しい種。この仲間は藻類を食べて、その中の葉緑体を体の細胞に取り込んでしまいます。その葉緑体が光合成をしてくれるので、いわば体がソーラーパネルになる!人間も少し真似できたら良いですね。ちょっと肌が緑色になるけれど。
もう少し暖かくなったら、サンゴ礁の浅瀬や潮だまりへ、ウミウシ探しに行ってみてくださいね。
Vol. 35 ホンクロシタナシウミウシ
Dendrodoris nigra
● 目:裸鰓目 Nudibranchia
● 科:クロシタナシウミウシ科 Dendrodorididae
● 属:クロシタナシウミウシ属 Dendrodoris
動画撮影:
ホンクロシタナシウミウシ 2019年4月21日(うるま市 海中道路)
茶色のウミウシ 2020年11月29日(浦添市 西海岸パルコ前)
ミドリアメフラシ 2010年3月28日(浦添市 カーミージー)
緑色のウミウシ 2010年6月10日(沖縄県内 某所)
ニセツノヒラムシの仲間 2019年11月12日(浦添市 カーミージー)
動画撮影・編集&執筆
鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)
琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。
鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)
東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。手作りぬいぐるみで海を伝える、あーまんシアターも主宰。
これも読みたい!
◆【動画】薄っぺらいのに肉食系! 岩場のハンター「ヒラムシ」〈沖縄・海の生き物たちVol.7〉
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-816406.html
◆【動画】まるで漫画の最強キャラ!ムカデミノウミウシ <沖縄・海の生き物たちVol.21>
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-1029289.html
◆【動画】私は世界の海の旅人さ〜カルエボシとヒダミノウミウシ〜<沖縄・海の生き物たちVol.25>
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-1092795.html