復帰後最大の下落幅 沖縄の実質成長率はマイナス9.8% 2020年度 NIAC推計


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 南西地域産業活性化センター(NIAC、大嶺満会長)は25日、2020年度の県内総生産の実質成長率が、マイナス9.8%程度に落ち込むとの推計を発表した。新型コロナウイルスの拡大によって、個人消費や観光を含む移輸出などが減少し、日本復帰以降で最大の下落幅になると見込んでいる。19年度の成長率見込みはマイナス0.9%程度と推計し、2年連続のマイナス成長を予測している。

 金城毅上席研究員は、公共投資の減少や、製造業の割合が少なく輸出が乏しいことから、全国に比べて落ち込みの幅が大きくなる可能性が高いと指摘する。21年度の見通しとして「ワクチンの普及などで、消費や観光は回復傾向となる。ただ、コロナ以前の水準に戻るにはまだ時間を要するだろう」と話した。

 項目別では、観光収入などを含む移輸出が、19年度比48.6%程度の減少となる見通し。20年度の入域観光客数は同73.6%減の250万人を予想している。

 個人消費は同5.1%程度の減少を予想している。巣ごもり需要や、1人10万円の特別定額給付金の支給によって食料や家電製品は増加している。一方で、外食や教育、衣料品、交際費など幅広い分野が、外出自粛や所得の悪化を受けて減少している。政府最終消費支出は、社会保障関連の増加を受けて同3.6%程度増加を見込む。

 貸家を中心に19年度から減少基調に転じていた民間住宅投資は、コロナ禍によってさらに勢いが失われ、同17.3%程度の減少と見通している。公共投資は、中北部や離島地域の市町村発注工事などが低調となり、同3.6%程度の減少を見込む。

 個人預金残高は、20年4月末の3兆2838億円から、6月末に3兆4328億円と、1490億円増加した。金城氏は、特別定額給付金のうち貯蓄に回った部分も多かったと推察し、「需要が抑えられていることもあり、収束後には個人消費は回復が予想される」と話した。

 詳細はNIACのホームページ(https://niac.or.jp/)で公開している。
 

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