老舗「琉球漆器」が閉店 創業130年、王朝の文化継承…コロナで業績悪化


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感染症の影響などを受け、31日で閉店する琉球漆器真玉橋本店=30日、豊見城市

 創業130年近くの歴史がある老舗漆器店「琉球漆器」(豊見城市、照屋真宏代表)が、新型コロナウイルスによる業績の悪化などを受け、31日で閉店することが分かった。漆器の製作、販売を通して沖縄の漆芸文化を県内外に広げてきたが、既に工場の操業を停止し、真玉橋本店も閉じることになった。

 同社は真玉橋本店のほか、糸満市や国際通りに店舗を構え、堆錦(ついきん)や螺鈿(らでん)などの技術を用いた伝統漆器を生産してきた。工場見学や県内小学校での体験授業など、技術の普及にも積極的に取り組んでいた。

 真玉橋本店によると、感染症の影響による来店客の減少もあり、2020年に国際通り店を閉店。糸満市と本店の工場で漆器製作を続けてきたが、今年2月までに工場の稼働も停止し、職人らも退職したという。感染症の長期化が、沖縄の伝統文化の継承にも大きな影響を及ぼしている。

 「琉球漆器」に約20年在籍した経験がある、漆修復専門会社「漆芸工房」(那覇市)代表の諸見由則さん(60)=県指定無形文化財保持者=は「長い間、勤めていたので寂しい」と声を落とす。首里城公園内の修復も請け負う諸見さんは、職人の育成や雇用の場が減っていくことに危機感を抱き、「漆器が売れない状況が続く中で、(商品開発などで)変えていかないといけない」と語った。 (池田哲平)

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