新型コロナウイルス感染症対策に関連した資料について情報公開請求を受けた県が、個人情報が含まれていないページも「個人に関する情報」として黒塗りで公開していたことが26日、分かった。
開示請求をした調査団体インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)が独自のルートで入手した元資料を見ると、黒塗りにされたページには、県外からのウイルスが「観光業」と「接待を伴う飲食店」に関連して、県内で広がったことを示唆する相関図が描かれていた。
IPPの依頼を受けて資料を分析した群星沖縄臨床研修センター長の徳田安春医師は「感染のホットスポットに観光業が含まれていたことが分かる重要な図だ。観光が感染拡大の背景にある事実に向き合い、水際対策を強化すべきだ」と指摘する。
県が一部黒塗りにしたのは、県衛生環境研究所と厚生労働省クラスター対策班第2次沖縄派遣チームが作成した資料で、昨年8月24日までに県内で確定したクラスター事例について分析した結果をまとめている。
ページが丸ごと黒く塗りつぶされていたのは30ページのうち4ページ。元資料と照らし合わせると、実際に個人情報に関わるページもあった。
だが相関図には、個人を特定できるような情報は見当たらない。非開示にした理由について県の担当者は「(当時担当だった)前任者に確認したところ、当時としては断定できるような情報ではなかった」「(開示すると)観光業が悪のような形になってしまう」などと説明した。
IPPの河村雅美代表は「県が『個人情報』と偽ってデータを隠蔽(いんぺい)したのはなぜか。特定の産業への配慮が情報開示の場で表れたとしたら深刻な問題だ」と語った。県はIPPの公開請求に対して昨年4月時点の県内の感染拡大状況を分析した別の資料も開示したが、同じく個人情報を理由に14ページ中8ページを黒塗りにしている。
(明真南斗)
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