「選択的夫婦別姓」と「同性婚」の賛否を問う県議・国会議員アンケートでは、両方の事柄について、「個人の生き方の尊重」「法の下の平等」などを理由に、賛成意見が多くを占めた。特に選択的夫婦別姓では、県議会与党・中立全会派議員と、県関係国会議員の全員が賛成し、制度への理解が政治の場にも浸透していることをうかがわせた。一方で、県議会最大会派で県政野党の自民会派を中心に、選択的夫婦別姓、同性婚に対する反対・慎重意見も一定程度あった。議論が不十分という見解が最も多いほか、家族観の変化への戸惑いもあり、課題の解消が一筋縄ではいかない現状も反映した結果となった。
「選択的夫婦別姓」制度導入の賛否については、県政野党の沖縄・自民以外の全会派の県議が「どちらかと言えば」を含めて賛成とした。自民会派でも賛否は分かれ、国会議員は国政与党の自民党議員も含めて全て賛成意見だった。
賛成の理由(複数回答可)では「別姓も選べることにより個人の生き方を尊重できるから」が37人で最も多く、次いで「キャリアが分断されるなど改姓のデメリットが大きいから」の19人だった。
記述式回答では、主に女性が改姓を求められ、不利益を受けているとして「ジェンダー平等の観点からも是正されるべき」(島袋恵祐氏・共産)との意見があった。比嘉瑞己氏(同)は憲法で戦前の家制度は否定されていると指摘した。夫婦同姓を義務付けているのは日本だけで、国連からたびたび是正勧告を受けているとの指摘も複数あった。
旧姓使用については、「契約書や手続きによっては不可の場合も多い」(喜友名智子氏・てぃーだネット)など現状に疑問を呈する指摘もあった。「重要なのは自由に選ぶことができるかどうかだ」(次呂久成崇氏・沖縄・平和)など、選択肢を増やすべきとの意見も上がった。
一方で、「どちらかと言えば」を含めて、県議会自民会派の13人が反対、2人が「回答できない」などとした。賛成意見1人を含む8人が「制度導入の議論が十分ではないから」を選択した。そのほか「姓が違うと家族の一体感が弱まるから」(5人)などの回答が続いた。
記述式の回答では「メリット・デメリットを国民が知らなすぎる。性急な導入をすべきでない」(仲里全孝氏、座波一氏・沖縄・自民)、「国民的議論が必要」(新垣新氏・同)という声があったほか、大浜一郎氏(同)は「別姓制度のメリットを理解できない」とした。
自民党内で推進の立場を明確にしている衆院議員の宮崎政久氏は「制度を導入しても、反対派の方々が指摘するような問題は特段生じないことが明らかになっている」と記した。
▼【全回答】「同性婚」「選択的夫婦別姓」県議・国会議員アンケート
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