扶養照会が生活保護申請を遠ざける 支援者から見える問題点


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
生活困窮者の相談に耳を傾ける「県生活と健康を守る会」の照屋つぎ子さん=4月1日、那覇市壺屋

 那覇市の「県生活と健康を守る会」は2010年に発足し、週3回、生活保護に関する相談や支援活動を続けている。年間の相談は約200件。相談員の照屋つぎ子さん(73)は、生活保護の利用を躊躇(ちゅうちょ)する要因として、親族への「扶養照会」を挙げる。

 生活保護を申請する際、福祉事務所は本人の親族に対し、援助が可能かどうかを確認する。しかし「家族に知られたくない」と「申請をやめる人が今もいる」(照屋さん)という。厚生労働省は4月1日付で、照会を拒む申請者の意向を尊重すべきとの通知を、自治体に出した。同会は窓口での運用改善を期待する。

 相談者の生活は苦しくなっているのに、生活保護の利用は「微増」にとどまっている―。照屋さんは「役所に行っても、生活保護に関するビラやポスターはない。制度を知らせないことで、利用の抑制につながっているのではないか」と指摘し、行政が積極的に利用を呼び掛けるよう求めた。

【関連ニュース】
▼ヤミ金融で借りた10万から生活暗転…コロナが追い打ち
▼生活保護最多3万8472人 解雇されて収入がない…
▼【記者解説】生活保護が過去最多 非正規が多い沖縄
▼【識者談話】生活保護の利用を「我慢」する要因は?