日付の語呂合わせから「ロックの日」の9日、沖縄県うるま市伊計島の大泊ビーチで、素潜りして水中で競うラグビーのようなスポーツ「ウオーターロックラグビー」のミニゲームがあった。奪い合うのは重さ30キロほどの石(ロック)で、競技場は水深3~5メートルの海底だ。企画・参加した放課後等デイサービスIMUA(イムア)=沖縄市=のメンバーらは人魚のように潜っては激しくロックを巡って攻防し、息継ぎに「きっつー!」と海面に顔を出した。
競技は水難事故を防止するライフセーバーのトレーニングとして誕生し、国内では2003年から渡嘉敷島などで全国大会が実施されている。試合では1チーム4人で、互いに海底でのトライを目指す。
海中で声は通らず、視界は狭く、息は続かない。ロックは浮力で軽くなるものの、ボールのようには扱えない。制約が多い中、仲間と無言の意思疎通でロックをつなぐ。男子高校生(16)はトライを決め「爽快。最初はめちゃめちゃ怖かったけど、立ち向かったら楽しかった」。
IMUAでは、ほかのスポーツとしてライフセービング、ビーチサッカーと自然の中での活動をふんだんに取り入れる。代表の山城健児さん(55)は「子どもたちが室内にいるときとは全然違う、生き生きした表情になるから」と語った。
ウオーターロックラグビーでは、自分や相手がどこまで息が続くかを見極め、ロックを受け渡す。危険もある海中だからこそ、安心・安全を守るためのコミュニケーションを体で実感できる。
山城さんはこのような活動を続けることで「どの子も好奇心を持って主体的に動くようになる」とし、発達障がいなど生きづらさがある子どもたちへの効果を実感しているという。
ゲームの合間、参加者は立ち泳ぎで休憩しながら、わいわいと談笑した。スタッフの玉江要子さん(30)は「できないことはできないと伝え、それを受け止めるからこそ、みんなで楽しめる」と日焼けした笑顔で話した。(黒田華)
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