新型コロナウイルス感染拡大に伴う、県の緊急事態宣言に関する対処方針を受け、県内各地の市町村では、一部の職種やどうしても休みが取れない家庭の子どものみを預かる「特別保育」などが実施されている。ただ、市町村ごとの対応はまちまちで、事業者の受け止めも異なる。結果的にしわ寄せは保育現場だけでなく、保護者にも及ぶ。
緊急事態宣言の発令を受け、那覇市は保育所やこども園など就学前教育保育施設の保護者へ登園自粛や外出自粛などへの協力を呼び掛けてきた。だが、その後も市内の就学前教育保育施設でクラスター(感染者集団)が複数発生したため、8日から「特別保育」を実施している。
対象職種は「医療関係」から「家庭用品のメンテナンス関係」「個人向けサービス」など17種で、内訳に例示されている職種は100近くある。さらに、ほとんどに「等」が付いているため解釈次第で対象は広がる。
市内のあるこども園では10日、約8割の園児が登園した。園長は「保護者の仕事に影響してしまうので、園としても保育を止めることはできない。引き続き対策を徹底して子どもたちを預かりたい」と気を引き締めた。
市町村ごとに対象職種が異なることで、影響は保護者にも及ぶ。本島中部の自治体の保育施設に子どもを預けている30代女性は、家庭保育を求められたことから会社に休暇を依頼した。すると「上司に『何で他と違うの』と嫌みを言われた」。結果的に休むことはできたが「立場が悪くなりそう」と頭を悩ませた。
県内の認可保育園でつくる県私立保育園連盟の仲地賢会長は「市町村で状況にも差があるが、学童を受け入れているところもある。エッセンシャルワーカーの対象があいまいなので、県に方針を示してもらいたい」と話した。県保育士・保育所総合支援センターの知花聡センター長は「感染対策をしようにも、子ども相手だと密も避けられない。保育従事者へのワクチンの優先接種などを含めて、行政にサポートしてもらいたい」と訴えた。
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