新型コロナウイルスの感染拡大で沖縄県内各地の小中高校が休校になる中、開所を続ける保育施設の関係者から悲鳴が上がっている。多くの自治体で医療従事者など社会生活を維持する業種を除き、登園自粛が求められているが、那覇市内では通常とほぼ変わらず8割の園児が登園する保育園もある。仕事を休めない家庭も多く、保育のニーズは依然高い。一方、園児が多ければ感染リスクも増える。現場の緊張感は高まっている。
「保育士が濃厚接触者などで3人離脱している。預かる必要がある子どもたちがいるのに保育士は減るばかり。厳しい」。本島中部の、ある保育施設で管理者を務める40代女性はこう打ち明けた。
県は3日に示した緊急事態宣言に関する対処方針で市町村に対し、保育施設では医療従事者など社会生活の維持に必要な業種や休むことが困難な保護者を除き、家庭保育や登園自粛の依頼、臨時休園などを検討するよう要請した。
ただ、市町村によって要請に強弱がある。那覇市内のあるこども園は10日、約8割の園児が登園した。園長は「特別保育の対象も幅広い。実質的に通常の開園と変わらず対応している」と語る。
県は事業者に対し、リモートワークや出勤者の7割減の推進、育児などのために休む必要がある従業員の休暇取得を認めるよう求めている。ただ、要請は「働き掛け」のため事業者ごとに対応はばらばら。保護者が家庭保育に切り替えられない実情もあるという。ちぐはぐな対策に本島中部の保育施設の女性管理者は「縮小保育ができるよう企業がちゃんと休ませてほしい」と訴える。
一方、県内では5月下旬から6月上旬にかけて、新規感染者数が200~300人で推移し、感染状況は以前とは比較にならないほど厳しい。本島中南部では依然として感染者が多く、児童や保護者が濃厚接触者になる事例も多い。
女性が勤務する保育施設でも感染者が確認され、すでに「2回消毒した」という。「どうしても預けないといけない医療従事者もいるので、開け続けられるようにしたい」。保育士の負担感が増える中、現場の使命感が支えている。
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