琉球新報は30日までに、県内41市町村に対して、新型コロナウイルス対策や感染拡大の影響に関する財政アンケートを実施した。行政の貯金に当たる「財政調整基金」の最新残高について、34市町村が感染症の影響がなかった2019年度末と比べて減少したと回答した。このうち、那覇市、糸満市など17市町村が減少の主な要因に新型コロナの影響を挙げた。識者は感染拡大で経済活動が停滞した20年以降の影響は「本年度の税収に現れる」と指摘。今後も財政調整基金の取り崩しが見込まれると分析している。
財政調整基金 地方自治体が景気低迷などによる税収減や大規模災害、感染症対策などで資金が必要になる場合に備え、自治体の判断で積み立てる基金。災害などやむを得ない理由で財源不足が生じた年度に活用する。
19年度末の財政調整基金総額は796億2283万円。最新の総額は567億677万円で、19年度末比229億1606万円(28・7%)減となった。
最新残高は、各市町村議会の6月定例会に提案された補正予算案が可決されたと想定し、算出した。
財政規模の大きい11市はいずれも減少した。市部で最も減少幅が大きかった那覇市は19年度比82・4%減だった。担当者は「(国の)交付金もその都度使っているが、緊急性がある事業は予備費から使い、基金を取り崩し対応せざるを得なかった」と説明した。
各市町村は国の地方創生臨時交付金などをコロナ対策に充てている。独自の支援策で基金を取り崩す自治体がある一方、国の財政支援でコロナの影響は「受けていない」と回答する自治体もあり、財政事情は異なる。
ただ、感染収束が見通せない中、今後は住民税などの税収減による自主財源比率の悪化を懸念する声が相次いだ。
今帰仁村の担当者は「自主財源の減少が予想され、財源不足の対応として基金の活用が考えられるため、大幅な減が予想される」と回答した。
一方、金武町など3町は最新残高も19年度末と比べて増加した。新型コロナの影響によるイベントの規模縮小・中止などによる支出減などが理由に挙がった。
町村部で減少幅が最も大きかった粟国村は94・3%減で、老朽化した施設の更新などを理由に挙げた。同じく基金が減少した石垣市の担当者は「普通建設事業費や扶助費などで活用した。コロナは関係ない」と説明した。