女性過去最多の13人当選 夫婦別姓を実践、糸数貴子さん「女性と子どもの力に」<那覇市議選>


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初当選を確実にし、家族で喜ぶ糸数貴子さん(中央)=11日午後11時27分、那覇市長田の選挙事務所

 定数40に対して63人が立候補し、激戦となった那覇市議会議員選挙。12日午前0時半現在、過去最多となる女性13人が当選を確実にし、女性の躍進を印象付けた。20代の市議も3人が誕生する見通しとなり、議会に新しい風を吹き込んだ。激戦を勝ち抜いた候補者たちは「市民の声を政治に反映させる」「愛する街を活性化させる」と誓った。当選者は市政の課題解決に向け、4年間の重責を担う。

 子どもへの暴力防止やジェンダー平等に向けて地道に活動を続けてきた社民推薦の糸数貴子さん(53)=無所属。11日午後11時12分ごろ当確の報が入ると、選挙事務所は笑顔に包まれた。万歳の代わりに、手話で拍手の意味がある手をひらひらさせる動作で支持者と喜びを分かち合い、「皆さんの思いを背負って頑張る」と語った。

 社民現職でおばの宮平のり子氏の引退に伴い出馬を打診された。最初はちゅうちょしたが「これまでやってきたことを進めたい」と、女性や子どもたちのために覚悟を決めて出馬を決意した。

 家族も後押ししてくれた。夫の新垣栄さん(53)とは高校の同級生。24歳で事実婚し夫婦別姓で歩んできた。「家制度に縛られず、今までと同じ関係でいたい」との思いからだった。新垣さんは妻の出馬に「やってみたら」と背中を押した。次女の昌生(あつき)さん(24)も「お母さんは行動力があるから大丈夫」と太鼓判を押す。

 琉球大学卒業後、「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」や、子どもへの暴力防止に取り組む「NPO法人おきなわCAPセンター」などで20年以上活動する。性暴力などに悩まされる子どもや女性の悲痛な声を直接聞き支えてきた。

 「子どもへの暴力防止、福祉施策の充実、ジェンダー平等」の三本柱を訴え続けた。

 誰もが自分らしく生きられる「のびやかな社会」に向けて、市議としての一歩を踏み出す。

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