新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最多の354人に上り、沖縄県庁内に衝撃が広がった。元々は4連休明けで、検査数の増加も見込まれるため「感染者は上振れする」(県関係者)との観測は広がっていたものの、27日の感染者数は、県の想定を大きく超えた数となった。県首脳は「衝撃的だが、受け止めた上で対策を取るしかない」と語り、病床確保や宿泊療養施設の新設などを急ぐよう関係部局に指示を出した。
新規感染者数の増加について、ある県幹部は今月17、18日の人出の増加が要因との見方を示す。緊急事態宣言が当初期限だった7月11日から延長されて以降の人出が増加し、直近の感染急拡大につながっている可能性があると分析する。
実際、厚生労働省にビッグデータなどを提供する「Agoop(アグープ)」(東京)のデータを基に分析したところ、7月17日の午後6時~11時台で、繁華街「那覇市松山」の人出は前週の10日から、24・3%増加していた。緊急事態宣言入り直後で、同じく土曜日だった5月29日と比較すると、54・9%の大幅増となっていた。
緊急事態宣言の延長が決まり、我慢ができなくなった飲食店の開店や、自粛疲れの県民の外出が増えたとみられる。県幹部は「(22~25日の)4連休は台風があったことで人の動きが抑制された効果が出てくれればいいが、このまま増え続けると医療が持たない」と危機感を示す。県は感染者数の急激な増加を分析した上で、28日にも対応策を発表する考えだ。
感染者数の急増で、緊急事態宣言の早期解除に悲観論が漂う。野党県議は「感染者数も多い本島中部に宿泊療養施設がなく家庭内感染が放置されているなど、県は何ら有効な対策を取っていない。ある意味予想通りだ」と指摘。知事の責任を追及する構えを見せた。
一方、与党幹部の1人は先行きへの不安を口にしつつ、「(国が判断した)緊急事態宣言の長期延長で、我慢し続けてきた県民の気持ちの糸が切れたことが感染拡大の要因の一つだろう」と述べ、県政批判の広がりをけん制した。
(池田哲平、大嶺雅俊)
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