群星沖縄臨床研修センター長の徳田安春医師は17日までに、新型コロナウイルスのワクチン接種と今後の県内感染流行に関するシミュレーションを、神戸大学の國谷紀良准教授と共同で作成した。ワクチン接種が600日で完了する接種ペースだと、デルタ株が流行した場合、年末まで緊急事態が続き、さらに来年の春、夏、冬の3回、大きな流行が予測されるという。
シミュレーションは新規感染者が1日100人で緊急事態宣言を発令、同20人未満で宣言解除を条件とした。1人の感染者が平均何人にうつすかを表す指標「実効再生産数」は、これまでの平均を計算し、解除時2・08、宣言発令時0・66とした。デルタ株は実効再生算数を1・95倍に設定した。
接種スピードは三つのモデルを用意した。政府目標の年内完了を「300日完了ペース」、現在の想定スピードを「600日完了ペース」、スピードが上がらない場合を「1200日完了ペース」としている。
300日完了ペースだと、年末にいったん下火になり、来年2月と初夏に流行があるものの、その後は収束する見込み。
1200日完了ペースでは、来年夏まで流行が続き、その後も大きな流行が起きる可能性がある。
デルタ株の流行を想定しない場合、300日完了ペースは今後1回、600日完了ペースは今後2回、1200完了ペースは4回以上の流行となる。
徳田氏は「今の接種ペースだと、冬まで緊急事態宣言を解除できないという厳しい予測とならざるを得ない」と述べ、ワクチン接種スピードを上げる必要性を指摘した。
また、ワクチン接種以外に流行を抑える手だてとして、水際対策の強化を挙げ「ゼロコロナ政策が採れているのは台湾やニュージーランドなど島しょ地域だ。沖縄も離島だから、水際対策さえしっかりやれば、このようなシミュレーションにならなくてすむ」と述べ、水際対策の強化を訴えた。
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