「救えなくなる」「疲労ピーク」医療現場は崩壊寸前 沖縄コロナ急拡大


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 新型コロナウイルスの急速な感染拡大で29日の新規感染者は過去最多を更新し、入院患者は434人に上る。繰り返される医療体制の危機に、治療に当たる沖縄県内医療機関は「患者を救いたくても救えない状況になる。勘弁してほしい」と、これまでにない危機感を募らせる。

 コロナの軽症・中等症患者の治療に当たる北中城村の中部徳洲会病院。感染拡大で、救急車で運ばれてくる患者や一般患者も、熱がある場合はすべて感染を疑わなければならない状況となった。以前の診療より手間や時間がかかる上、常に緊張感が漂う。

 重症患者の場合は、対応できる医療機関に送っているが、担当者は「今後転院先が満床になると、ここで対応しなければならない可能性もある。人工呼吸器や人工心肺装置ECMO(エクモ)はあっても、経験を積んだ人でなければ対応は難しい」と話した。

 治療に当たる一方、感染者数の急増でさらなる病床確保やワクチン接種など多くの依頼が舞い込む。「現場にどんどん負担が増え、精神的・肉体的にも疲労はピークではないか。先が見えない。手が回らず患者を救えなくなる状況が既に始まっている。県民一人一人が真剣に考えてもらいたい」と切実に訴えた。

 那覇市立病院は5月下旬から一般診療を一部制限し、コロナ患者の受け入れ病床を拡大した。今後も現在の病床数を継続する方針だ。予定手術の延期や来院を控えてもらう事例もあり、担当者は「一般の治療を全くやらないわけにはいかない。一般診療の制限が長引いており、慎重に対応する必要がある。当面は確保している病床で推移を見る」と語った。

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