【識者談話】廃棄物は動かせるのに…県警捜査は過剰反応、表現の自由侵害も(高作正博・関西大教授)


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宮城秋乃さんが米軍北部訓練場跡地で回収し、基地との境界線内側に置いた廃棄物=4月7日(宮城さんのブログより)

 宮城さんがゲート前に置いた廃棄物は、動かそうと思えば、すぐに動かすことができる量だ。宮城さんの行為を威力業務妨害や廃棄物処理法違反などで捜査するのは過剰反応だ。

 刑法はできるだけ抑制的に適用すべきであるという考え方があり、行使する際はその影響を考えなくてはならない。今回の捜査は、他の基地周辺で抗議行動する人々への萎縮効果をもたらしてしまうのではないか。憲法上保障されている表現活動の侵害にもなりかねない。

 表現の自由は「いかに自分の言いたいことを伝えるか」ということが重要で、宮城さんはあえて、ゲート前に廃棄物を置くという効果的な方法を選んで行動している。それが非難され、警察の捜査の対象になるのはおかしい。

 今後、検察の判断が注目される。検察は「表現の自由だから」という理由で刑法犯に問わないという判断はしない傾向にある。宮城さんが起訴される可能性もある。
 (憲法学)


 

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