まるで幽霊「漁業40年で初めて見た」深海生物ユウレイイカ 寒天質で長い腕


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深海生物「ユウレイイカ」と水揚げ時に乗船していた照屋仁さん。2本の細長い腕が特徴で、照屋さんのつま先付近まで伸びる=15日、うるま市の勝連漁港

 【うるま】細長い体は白く透き通り、ゆらゆらと漂う姿は、まるで幽霊―。沖縄県うるま市の安里彰敏さん(50)が10日、深海生物「ユウレイイカ」を釣り上げた。安里さんから「種類が分からない珍しいイカを水揚げした」との一報を受け、勝連漁業の玉城謙栄さんがインターネットで形態的特徴を調べ、判明した。玉城さんによると、通常は200~600メートルの深海に生息し、相模湾以南に分布する。玉城さんも「40年漁業に関わっているが初めて見た」と驚きを隠せない。

 異常に長い2本の腕に、火星人を思わせる大きなひれ。船に乗り合わせた5人の友人と安里さんは、通常のイカとは異なる奇妙な姿に「新種のイカかもしれない」と顔を見合わせた。

 触感はぶよぶよの寒天質で、発光器を備える。特徴的なのは、ほかの8本の腕に比べ、3~4倍はありそうな2本の腕。全長は約180センチに届きそう。水揚げ時に乗船し、身長168センチの照屋仁さん(44)は横に寝転ぶと、イカの長身っぷりに「でかい」と思わず笑った。

 勝連漁業協同組合によると、今後は琉球大学に提供し、生態解明を行うという。安里さんは「最初はみんなで食べようかと思ったが、食用ではないと聞いたので残念だ。研究で面白いことが分かればいいね」と話した。


 

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