1ミリ余の痕跡から丹念に調査・分析を重ね、国内最古の発見につなげた。県立博物館・美術館が21日に発表した国内最古となる着色された装飾品(ニシキツノガイの貝製ビーズ)の中で、赤い顔料が塗られている部分は、貝製ビーズの中央付近のわずか1ミリ余の範囲だ。担当学芸員らは出土した当初は気付かないまま、いったん調査報告をまとめた後、改めて再調査する中で周囲の色との違いに気付き、分析を重ねてきた。
研究者 「地道な調査 大切」
今回、着色が明らかになった貝製ビーズが南城市のサキタリ洞遺跡から出土したのは2013年。調査を担当した同館主任学芸員の山崎真治さんらは出土品の調査をまとめ、国内最古の貝製ビーズとして16年に発表していたが、当時は顔料に気付いていなかった。
一方、海外では装飾品に顔料を塗る事例も確認されていた。そうした例を念頭に、山崎さんらは、13年に出土した十数点の貝製ビーズを改めて確認した。
肉眼や顕微鏡で観察していくうちに、貝自体が元々、赤い色を帯びているニシキツノガイの貝製ビーズの中で1点だけ、赤色の質が違うわずかな範囲があることに気付いたという。
顔料の可能性を念頭に理化学分析を重ね、酸化鉄由来の赤い顔料であることが分かった。出土した地層の土壌などとも成分が違うことも踏まえ、人為的に塗ったものと判断した。
21日午後。貝製ビーズが見つかった調査現場で報道陣へ地層などを解説した山崎さん。再調査で着色された装飾品であることが分かった際には「それまで顔料の利用法はよく分かっていなかった。驚きだった」と明かした。「何げないことも地道に調べていくことが大事なことだ」と改めて実感を込めた。
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