「「オール沖縄」幹部に協力要請も…自民・島尻氏のリベンジ戦略」から続く
2019年補選の1万7千票差から一転、今選挙は7千票差を付けられ島尻安伊子氏=自民=に議席を奪われた屋良朝博氏=立民。敗北が決まった10月31日深夜、屋良陣営幹部は「こうなるようになった選挙だ」と自嘲気味に語った。
補選では票田の沖縄市、うるま市、名護市で票差を付け、11町村でも5勝6敗とほぼ互角の戦いだった。それが今回は3市を全て落とし、票差で上回ったのは大宜味村と今帰仁村のみ。「この2年半、屋良氏は市町村を回ることをしなかった。島尻氏はしっかりやった。その差だ」(同幹部)。
翁長雄志前知事が急逝し、その後を継ぐ形で3区の衆院議員だった玉城デニー氏が知事に当選。屋良氏は補選で玉城氏の後継として出馬し議席を維持した。「当時は勝てる要素がそろっていた。今回は風はなかった」(別の幹部)。
2年前の状況とは違うと認識していたにもかかわらず、「圧勝」を記憶から切り離せず、選挙前の陣営には楽観論さえ漂っていた。
工事が進む名護市辺野古の新基地建設に「反対」を直接的に表現しない屋良氏への不満もうっ積した。支援者の声を受け、公示日にようやく「辺野古反対」を演説で強調するよう確認。ただ屋良氏の訴えは最終盤まで抽象的な表現が並んだ。
名護市のある3区の議席を落とせば今後の政治判断に影響が出る危機感から、玉城知事も足しげく選挙区に入った。だが「辺野古反対」を強調することなく、有権者に危機感を共有することができなかった。
新基地建設問題を積極的に語らない島尻氏の土俵で戦った格好になり、ある関係者は「屋良氏は振興策も訴えたが『振興策ならば政権与党に投票する』というように、逆に島尻氏に塩を送ることになったのでは」と皮肉った。屋良氏は敗戦の弁で「私の訴える力が足りなかった。それに尽きる」と力なく語った。
(’21衆院選取材班)
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