貝殻に穴を開けてしまう肉食の貝も☆
海辺の浅い砂地やタイドプールの砂だまりは、パッと見ただけでは生きものが見えません。でも、こうした場所には、砂の中に隠れている生きものたちの世界があります。
砂の中にいるのは、二枚貝のほか、ゴカイやギボシムシといったミミズ状の生きもの。砂の中に逆立ちする形で潜ったり、U字型の巣穴を掘ったりして、砂に混ざる有機物を砂ごと食べます。栄養にならない砂は、お尻から砂地の上にしぼり出されて、小さな砂山を作ります。そして、こんな生きものがいる砂地には、それらを食べる肉食の生きものもやってきます。その代表が、タマガイやタケノコガイの仲間です。
二枚貝を専門に食べるのは、ツメタガイやリスガイといった、丸っこいタマガイの仲間。小さな穴の空いた二枚貝の殻を見つけたら、それはタマガイの食べあとです。歯舌というやすり状の歯と酸を使って、二枚貝の貝殻に穴を開けて中身を食べてしまいます。
ゴカイやギボシムシを食べるのは、タケノコガイの仲間。細長くとんがった貝殻がきれいだけれど、普段は砂の中。タケノコガイの歯舌は、毒針で有名なイモガイ類と同じく、矢のような形をして、イモガイほどではないけれど毒もあるようです。その矢を相手に打ち込んで、食べてしまうらしい。これも砂の中で起こるから、なかなか見えないんですけれどもね。
タマガイやタケノコガイが歩くと、時々砂の表面に歩いた筋が残ります。その筋の先を掘ってみれば、貝が出てくるかも。今度、砂地のタケノコ掘りでもしてみようかな。
Vol. 45 ムシロタケ
Myurella affinis
● 目:新腹足目 Neogastropoda
● 科:タケノコガイ科 Terebridae
● 属:アデヤカギリ属 Myurella
動画撮影:
ムシロタケ 2021年7月11日(浦添市 西海岸パルコ前)
リスガイ 2021年7月11日(浦添市 西海岸パルコ前)
動画撮影・編集&執筆
鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)
琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。
鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)
東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。手作りぬいぐるみで海を伝える、あーまんシアターも主宰。
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