平均給与が貧困ライン以下…なぜ?どうしたらいい? 「沖縄SDGsプロジェクト」会議


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クロストークで意見を交わす(左から)糸数温子氏、花牟礼真一氏、真栄田一郎氏、吉永亮太氏ら=5日、那覇市泉崎の琉球新報ホール

 SDGsを促進する企業・団体のプラットフォームOKINAWA SDGsプロジェクト(OSP、事務局・琉球新報社、うむさんラボ)は5日、2021年度第2回カンファレンス(共催・沖縄経済同友会、沖縄県中小企業家同友会)を沖縄県那覇市の琉球新報ホールで開き「県経済から脱貧困を考える―給与額が発するメッセージ」をテーマに議論した。

 沖縄県は20年度に「稼ぐ力」をテーマにした万国津梁会議を開始し、県民所得を向上させるための方策を議論している。この議論を共有して民間で具体的な動きを創り、貧困問題の解決につなげようと企画した。

 沖縄県商工労働部マーケティング戦略推進課の吉永亮太さんは「沖縄県の平均給与月額は22万円だが、それ自体が既に相対的貧困ラインの23万円より少ない」と報告。相対的貧困率を下げるため「3年以内に1人当たりの月給を平均1万円上げる」と目標を説明した。

 かねひで総合研究所理事長の花牟礼真一さんは「産業別に丁寧な対応が必要」と指摘。県中小企業家同友会代表理事でマエダ電気工事社長の真栄田一郎さんは「社員の幸せが経営理念であり、給与はその一つ」とし収支や目標を社員と共有する取り組みを報告した。

 子どもの貧困や教育格差を研究する、日本学術振興会特別研究員の糸数温子さんは「平均値は高収入に引っ張られる。非正規の若者などの所得はもっと低い」と指摘した。公共事業で安価であることが評価される入札制度の問題も重視した。


 

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