13回も再申請、半年すぎても支給まだ…「不備ループ」コロナ月次支援金でも


社会
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一時支援金の申請を何度も繰り返した女性(奥)とその姉。審査体制に「支援を必要とする弱者がさらに弱い立場に追いやられてしまう」と訴える=那覇市

 新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込んだ事業者などに国が支給する月次支援金で、申請時に何度も書類の不備を指摘され、不承認を繰り返す「不備ループ」が発生している。5月まで実施されていた一時支援金の申請でも同様の事例が指摘されていたが、問題は残ったままだ。那覇市に住む自営業の70代女性は4月に初めて一時支援金を申請して以来、現在の月次支援金も含め、いまだに支給に至っていない。

 一時支援金は1~3月、月次支援金は4月以降に売り上げが減少した事業所などを対象としている。女性は一時支援金の申請で、店舗の所在を示す書類や賃貸契約書、売り上げ名簿などの添付について何度も不備を指摘され、13回にわたり申請を繰り返したが、結局、認められなかった。月次支援金も承認されない状況が続いているという。

 申請にはインターネット環境が必要だが、女性はスマートフォンやパソコンを所持していない。耳も聞こえづらいため、姉の力も借りて各都道府県に設置されるサポート会場で申請を続けてきた。申請書に不備があると、連絡が来て再度サポート会場に赴くことになるが、連絡をくれる人と会場の担当者が情報を共有していないため、指摘された不備の説明を繰り返すことになるという。

 月次支援金の審査やサポート会場、電話窓口などの運営を中小企業庁から受託する、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーの広報担当者は「個別の業務について回答することは控えさせていただきたい」と回答した。

 女性は「不正受給がないように厳しく審査することは必要だと思うが、修正内容を共有するなど各機関が連携を取らなければ、支援を必要とする人がもっと弱い立場に追いやられるのではないか」と訴える。

 消費者問題に詳しい安里長従司法書士は「電話で不備の指摘をしているにもかかわらず、サポート会場でも再度説明を強いられる。情報の管理ができていないため申請者に負担をかけている」と指摘する。「インターネットを活用できる人、できない人の格差があってはならない。コールセンターと会場の連携を強化するなど、見直しが必要だ」と強調した。 (名嘉一心)


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