運転代行業の不足深刻 コロナで廃業、需要回復追いつかず…飲酒運転横行に危機感


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事務所で待機する運転代行業者の男性=19日午後7時すぎ、浦添市屋富祖

 新型コロナウイルス感染防止に関する県の独自措置が解除され、飲食店などで飲酒する機会が増える中、自動車運転代行業者の不足が深刻となっている。全国運転代行協会県支部の新崎勝吉支部長によると、県の緊急事態宣言などに伴う飲食店の営業自粛要請を受け、商売をたたむ個人事業者や従業員が離職する業者が相次ぎ、需要と供給がマッチしていないという。新崎支部長は「年末年始に向け会食の機会は一層増えるため、飲酒運転の横行につながりかねない」と危機感を募らせる。

 県内は、県警に登録された認定自動車運転代行業者が9月末時点で約720業者を数え、全国最多となっている。認定業者数はコロナ前と比べてもほとんど変化はないが、新崎支部長は「業界の多くが個人経営の小規模事業者で、廃業申請を提出しないまま営業休止するケースも少なくない」と指摘する。

 那覇市内で事業所を営む60代夫婦は「昨年7月以降アルバイトが5人辞め、今は自分たちしかいない。予約の電話はひっきりなしだが、全く手が回らない」と嘆く。

 運転代行業務は1件の依頼に対し最低2人の人員が必要になる。人充てができないため、3台あった代行車も今は1台しか稼働できない。特に週末は予約が集中し、「配車まで1、2時間待ってもらうこともざらだ」という。

 新崎支部長は「配車予約ができなかったり、待ち時間があまりにも長かったりすると、我慢できず飲酒運転する人が出てしまう」と危惧し、協会としても対策の検討が必要だと述べた。

 県警の金良建交通部管理官は、コロナに関わらず、年末年始は飲酒運転の摘発が増える傾向にあると指摘した上で、「県警としても根絶への啓発や防止対策に注力したい」と述べた。
 (当銘千絵)

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