米軍汚水から高濃度1600倍の有害PFAS 米軍合意得られず、沖縄県も公表遅れる


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流出事故から一夜明け、米軍の「陸軍貯油施設」内で米軍関係者らの説明を聞く国や県、うるま市職員ら=6月12日、うるま市昆布

 沖縄県うるま市の米陸軍貯油施設金武湾第3タンクファームから6月、有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)を含む消火用水が流出した事故を巡り、県と国、米軍の3者がそれぞれ実施した調査で、県の分析結果では貯水槽から採取した汚染水から1リットル当たり約8万ナノグラムのPFASが検出されたことが3日までに分かった。関係者が明らかにした。県では7月30日に結果が出ていたにもかかわらず、米側の合意が取れないため4カ月余り、県民に正式に公表されない状態が続いている。

 8万ナノグラムは、国の暫定指針値(PFOSとPFOAの合計が1リットル当たり50ナノグラム)の約1600倍に当たる。

 この事故では、日米地位協定の環境補足協定に基づき、県、国、米軍が6月28日、同じ貯水槽からそれぞれ採水した。県は県内の民間調査機関に分析を依頼し、7月30日には結果が出た。

 環境補足協定に基づく基地内の立ち入り調査については、事前に3者が合意する必要がある。だが、公表については3者合意の明記はない。県によると、事前に作成した立ち入り調査合意の協議書に調査の「条件」として、日米の合意に基づいて結果を公表する旨が記されていた。

 県によると日米が公表の時期や数字の取り扱いをまだ協議中だという。県幹部は「早く公表したかったが、米軍の合意が得られていない」と説明した。

 汚染水の流出は6月10日、貯水槽の定期点検時に判明した。劣化した貯水槽に大雨が入り込み、汚染水があふれて基地外に流出した。今回の調査は環境補足協定に基づく、日本側の基地内への立ち入り調査としては県内で2件目。(黒田華)


 

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