沖縄産マグロが高騰 水揚げ12%減、価格は34%増 軽石、天候不良が影響 飲食店に悲鳴 


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メバチマグロのブロックを切り分ける津波古政和さん =9日、那覇市の第一牧志公設市場内のさくら亭

 県内各地に軽石が漂流・漂着し、多くの漁船が漁に出られなくなった影響などによりマグロの水揚げ量が減り、取引価格も高騰している。那覇市の泊魚市場では、11月のマグロ類の水揚げ量が前年同期比12%減の484トンだったのに対し、1キロ当たりの平均価格は同34・2%増の604円だった。

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 那覇地区漁業協同組合の山内得信組合長によると、天候不良もあり11月末から今月7日までは特に競り値が跳ね上がり、一時は1100円台となった。山内組合長は「徐々に落ち着いてきたが、マグロは天候や需要と供給のバランスで価格が乱れやすい」と話した。

 糸満漁業協同組合でも価格の上昇が続いており、東恩納博組合長は「軽石の影響で出漁できない漁師もいて、魚自体が少ない。単価が上がれば漁師にとってはありがたいが、仲買業者や飲食店は大変だろう」とおもんぱかった。

 糸満市を拠点とする仲買業の男性によると、これまで2キロのメバチマグロは平均4千~5千円で飲食店に卸販売してきたが、9日は2・3キロのブロックの販売価格が7千円に上昇した。男性は「飲食店には申し訳ないが、競り価格が上がっている。県産の生鮮マグロは県外でも需要が高く、競りで買い負けることもある」と理解を求めた。

 那覇市の第一牧志公設市場内にある海鮮食堂「さくら亭」の店主・津波古政和さんは、「10月以降は仕入価格が1・5倍になり厳しい状況が続いている」と嘆く。同市場では今週末に那覇市制100周年記念感謝祭の「せんべろ」イベントがあるが、同店は名物のマグロが安価で提供できないため参加を見送った。

 クリスマスや忘年会、正月を控える12月は例年、マグロの需要が高まり価格が上昇する傾向にある。今年は軽石被害に加え原油価格の高騰、新型コロナウイルス回復による観光や飲食業界からの強い引き合いも重なり、価格をさらに押し上げている。津波古さんは「早く状況が改善するよう願うしかない」と述べた。 

(当銘千絵、写真も)

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