海洋博公園にヤシガニ1000匹 捕獲禁止で繁栄 美ら海水族館調査


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 【本部】沖縄美ら島財団総合研究センター(本部町)と国立研究開発法人物質・材料研究機構(茨城県)の研究グループは20日までに、本部町の海洋博公園に約千匹のヤシガニが生息していることと、食用サイズ(体重約500グラム)に達するのにオスは10年以上、メスは25年以上かかると発表した。生息密度は1ヘクタール当たり90個体。生息の北限域という厳しい環境だが、生き物の捕獲禁止や海岸樹林の保全など好条件が重なり、ヤシガニが多く生息する赤道直下の島々と遜色のない生息状況にあるという。

海洋博公園内に生息するヤシガニ(沖縄美ら島財団提供)

 海外の研究ではヤシガニを直接観察することで生息数などを推定しているが、沖縄美ら島財団などの研究グループは14年間にわたり350回以上の追跡調査を実施した。506組の個体を識別し、再捕獲データを収集・解析することで成長過程が判明。精度の高い研究結果を得ることができたという。再捕獲データを用いたヤシガニの研究は世界初。

 ヤシガニは県内では宮古や八重山地域などに多く生息している。乱獲や生息地の消失などで世界的に個体数が減少しているという。

 代表研究者の美ら島財団総合研究センター動物研究室の岡慎一郎室長は「資源減少が世界的に進んでいるヤシガニの生態解明につながるほか、資源管理や保全を考える上で重要な基礎データになる」と述べ、宮古・八重山地域での持続的な保全と利用に向けた評価基準や保全策の運営手法のモデルとして活用できるとの考えを示した。

 海洋博公園内のヤシガニの個体数などの研究の成果は、日本甲殻類学会の国際誌「Crustacean Research」に掲載された。

 (松堂秀樹)


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