
【東京】林芳正外相は6日、ブリンケン米国務長官と電話会談し、米兵の外出制限を含む新型コロナウイルス感染拡大防止措置の強化と徹底を求めた。米軍基地に由来する変異種「オミクロン株」の急拡大に、沖縄をはじめ全国の米軍基地所在自治体で不安が高まっていることを受け、日本政府として米軍基地内の実効性ある対策の申し入れにようやく動いた形だ。
在沖米海兵隊などは昨年5月、ワクチン2回接種者を対象に、基地内ではマスクをせずに一定の活動を認める方針を示していた。
在日米軍司令部は6日、全ての施設を対象に「健康保護態勢レベル」を5段階のうち3番目にあたる「ブラボー」に1段階引き上げた。今後、(1)検査で陰性が確認されるまでのマスク着用の義務化(2)日本に到着した際の感染検査(3)基地外でのマスク着用の義務化―などの対策を講じていくとしている。
一方で、集団感染が起きている米軍キャンプ・ハンセン(金武町など)では昨年12月17日以降、レベルが「ブラボー」に引き上げられているが、民間地で米兵らがマスクをせず行動する様子が確認されている。県は昨年12月21日に、キャンプ・ハンセンからの外出禁止を日米両政府に求めたが、措置はとられてこなかった。
6日の林氏による要請でも、基地の外に住む米兵への措置については「そこまでは詰めていない」(政府関係者)としているなど、有効な対策に向けてはさらなる調整が求められそうだ。
外務省によると、会談でブリンケン氏は「地域住民の健康と安全が非常に重要だ」と認識を示し、「申し入れは国防省に伝え、感染の拡大を防ぐためできる限りのことをしたい」と述べたという。(斎藤学、塚崎昇平)
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