昨年に続き、コロナ下で迎えた成人式。多くの自治体が成人式の延期・中止を決めたが、感染対策を取って開催した地域でも検査で陽性となり参加できない人が出たため、新成人は喜びだけでなく複雑な思いを抱えて式に臨んだ。今年の県内の新成人は1万6666人。大学生活など多くの場面でコロナ禍にほんろうされてきた新成人たちは、それでも「乗り越えていこう」と大人への一歩を踏み出した。
豊見城市立伊良波中学校区の成人式では参加者の抗原検査を実施し、数人が陽性となって参加できなかった。参加できない人のために、式典の様子を動画投稿サイト「ユーチューブ」で生配信した。新成人を代表して脇詞音(しおん)さん(20)は「コロナ禍で思い描いていた20代のスタートは切れなかったかもしれないが、乗り越えよう」とあいさつ。実行委幹事の奥山優渚(ゆうな)さん(20)は「参加できなかった人もいるので複雑な思いだ。コロナ禍と重なったことで『大人としてしっかり考えて行動しないといけない』と一層実感した」と話した。
オンライン方式に変更して開催した名護市の成人式。式典の様子をユーチューブで生配信し、式典後の記念撮影は予定通り実施した。上原恵都(けいと)さん(20)は「写真撮影だけでもできて良かった。オンラインでの開催だが中止よりはいいかな」と笑顔を見せた。
北谷町美浜の商業施設周辺では、成人式が延期になったことで行き場を失った新成人の姿も見られた。カップルで記念撮影をしていた新成人の男性(宜野湾市)は「(2次会などの)キャンセルをするのに混乱した。飲み会も全部中止にし、することがない」と話す。一緒にいた新成人の女性(北谷町)は「着物を着ただけで終わった感じ」と苦笑いした。
(伊佐尚記まとめ)
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