上智大の三浦まり教授らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」は8日の国際女性デーに合わせ、各都道府県の男女平等の度合いを政治、行政、教育、経済の4分野に分けて分析した「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」の試算を公表した。取り組みの意図を聞いた。
>>【結果はこちら】沖縄の男女格差、全国と比べてみたら…進まぬ女性登用、指数で探る
ジェンダーギャップが大きいということは、女性は男性と比べて教育や就労が制限され、声を意思決定に反映させにくいことを意味する。基本的人権の観点から問題だ。女性の経済的自立や政治参画が実現しないと人口の半分が潜在能力を開花させられず、経済の足かせにもなる。
都道府県版ジェンダー・ギャップ指数の目的は順位付けにあるのではなく、地域ごとの男女格差の特色を発見し、地方から日本のジェンダー平等を底上げするためだ。足元の現状を見つめ、変化のきっかけとしてほしい。
今回分析した4分野のうち、身近な地方自治の立案・執行を担う行政のジェンダー平等は重要であり、率先して取り組むことで民間への波及も期待できる。歴代知事2人が女性登用を進めた鳥取県が1位になったことが示す通り、知事や市町村長が本気になればスピード感を持って変えられる分野でもある。
政治は有権者の1票で変えられる分野だ。地方議会や首長に女性が少なければジェンダー平等政策の実現を損ね、次世代の女性にとってロールモデルが限定的になる。
教育では、大学進学率の地域格差と男女格差が歴然と存在し、学ぶ機会の平等が不可欠だ。学校や教育委員会の管理職が男性に偏ると、性教育やハラスメント対策が進まない懸念がある。
経済力をつけることは女性の人生の選択肢を増やし、家庭内暴力や貧困から抜け出すために重要だ。一方で、地域ごとに違う産業構造などの影響もあり、経済の各指標は注意深く見なければならない。
上位の県でもジェンダー平等が世界最低レベルの日本の中での順位だと認識し、さらなる取り組みが求められる。
重要なことは指標をきっかけに働き方や日常、意識を変えること。数値改善だけが目的になると本末転倒になる。男女格差が残る場所を探し、先進的な地域から学んで改善策につなげる。誰もが生きやすい、取り残されない社会にしていくことが目標となる。
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