12日に伊江島空港で起きた小型航空機の墜落事故を受け、同機を運用するNPO法人メッシュ・サポートの塚本裕樹理事長が同日、那覇市の事務所で報道関係者の質問に応じた。「こういう状況になってしまい、非常に残念。残念という言葉では、言い表せない」。初期の北部地区医師会による運営を含め2007年6月の活動開始から14年。静かな語り口からは離島の医療格差を補う貴重な人材を失ったことへの悲しみや無念さがにじみ出た。
「空港付近で煙が上がっている。機体が墜落したのではないか」。伊江島に滞在していた救急ヘリ担当医師から一報が入ったのが午後0時50分だった。急いで那覇市の事務所へ。午後1時9分ごろに医師から再び電話が入り、訓練パイロットの男性(61)と指導役の男性(73)の死亡が告げられた。
メッシュによると、訓練パイロットの男性は元航空自衛官で操縦歴約40年のベテランパイロット。昨年、メッシュに応募した。地上での模擬訓練を経て12日は実機での訓練中だった。4月には非常勤職員として採用される予定だった。
指導役の男性もベテランパイロットで、小型機の運用を始めた15年当初から同機を操縦。18年からは指導役に就き、豊富な経験を後輩たちに伝える役割を担っていた。
指導役の男性をよく知る男性は「いつも明るく声を掛けてくれる、後輩思いの優しい人だった。1万時間以上飛行経験があり、最近は熱心に後輩指導に当たっていた」と語る。「自身が引退後もメッシュの運航に支障が出ないよう、後継者の育成に力を入れたいと話していた。とても、残念でしかたがない」と声を落とした。
塚本理事長は「経歴を離島医療に生かせれば、人の役に立てればとの思いでメッシュの事業に参加してくれた2人。大変申し訳ない思いだ」と話した。 (小波津智也まとめ)
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