知事選9月11日、市町村で同日選多数か オール沖縄、現職出馬は既定路線 自公、県政奪還へ人選加速


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 沖縄県知事選の告示が8月25日、投開票が9月11日に決まった。「選挙イヤー」の天王山となる知事選の期日が決定したことで、選挙戦への機運は一気に高まり、名護市辺野古の新基地建設阻止でまとまる「オール沖縄」と政権与党の自民・公明の両勢力の動きが活発化することが予想される。知事選と任期満了日が近い28市町村議選や宜野湾市長選など4首長選の多くも同日選となることが濃厚だ。各地方選に出馬する候補者と連動した体制づくりも、選挙戦の行方を左右しそうだ。

 オール沖縄が支える現職の玉城デニー氏(62)は、沖縄の日本復帰50周年記念事業の成功に向け、政府与党との対立ムード醸成を避ける思惑などから、当初予定していた県議会2月定例会での出馬表明を見送った。ただ出馬は既定路線で、すでに選挙体制整備や公約策定作業を走らせる。オール沖縄幹部によると3月末から随時、各団体が玉城氏に出馬要請する予定で、ある程度要請を受けた段階で出馬を正式に表明する想定だ。

 県政奪還を目指す自民は、参院選沖縄選挙区に擁立する候補者が固まり、知事選で玉城氏の対抗馬となる候補者選びを本格化させる。4月には自民県連幹部や経済団体代表者などで構成する選考委員会を立ち上げる見通しで、公明とも意見交換しながら候補者の絞り込み作業を進める。

 参院選出馬を固辞し、知事選への強い意欲を示している前宜野湾市長の佐喜真淳氏(57)、沖縄担当相の西銘恒三郎氏(67)が軸となるほか、浦添市長の松本哲治氏(54)への期待もある。参院選と同様に、県出身官僚経験者を模索する動きもある。自民県連幹部の一人は「参院選とのセット戦術を図るためにも5月の大型連休ごろまでには決めたい」とのめどを示した。

 多くの地方選と同日選となり、これまでの知事選とは違った戦術が問われることになるが、与野党の受け止めはさまざまだ。自民県連幹部は「選挙の人員が分散する痛さはあるが、それは相手も同じだ。保守系候補が多く出る地域では相乗効果が図れるのではないか」と歓迎する。

 オール沖縄幹部は「最近の地方選では自民系の候補が多く出る傾向にある。知事選ときっちりセット戦術を組まれると厳しいとの懸念はある」と受け止める。一方で「地域の代表と県のリーダーの選び方が全く重なるわけではない。特に復帰50年事業でさらに露出が増えるであろう玉城氏ならなおさらだ」との自信も見せた。

(大嶺雅俊)


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